海外漁業に関する研究


太平洋島嶼国におけるナマコ資源管理に関する研究

 水産資源をどう管理するのか。これは太平洋島嶼国共通の課題になっています。かつて、太平洋島嶼国の沿岸住民は、水産資源をおもに自家消費目的で使用してきました。もちろん販売目的の漁獲も見られましたが、自給自足目的が大宗を占めてきました。しかし貨幣経済の浸透に伴い、水産資源は換金目的で利用されるようになりました。沿岸住民は市場で水産物を販売し、得たお金で食料や携帯電話などのサービス、光熱費、教育費の支払いに充てています。効率の良い網漁業も普及し、漁獲圧力の高まりと資源減少が指摘されています。

 資源を減らしている代表的なもののひとつがナマコです。フィジー沿岸で漁獲されたナマコの多くは、中国や香港などの市場へ輸出されており、高値で取り引きされているようです。沿岸住民はナマコを中国人バイヤーへ販売することで、一定の収入を得ていました。しかし、過剰な漁獲圧力によってナマコ資源は大きく減少しました。2017年、フィジー政府はナマコの販売(輸出を含め)を全面的に禁止する措置を導入しました。ナマコ漁業で生計を維持してきた沿岸住民は収入手段の変更を余儀なくされています。

 本研究では、ナマコ漁業が盛んであったクミ村、ワインガナケ村を事例に、ナマコ禁漁措置がもたらした影響について分析しています。


魚類養殖に関係する環境管理制度の比較研究

 魚類養殖を継続的に行うためには、環境管理が欠かせません。国内外の管理制度を比較分析することを通じて、必要とされる環境管理制度について検討しています。